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20131015 Weather Report


People In The Box
日本クラウン
¥ 2,200
(2013-10-16)

『Ave Materia』はとても良かった。
とても良かった。
でも最初は怖かった。
6曲目『割礼』
7曲目『みんな春を売った』
最後の曲『八月』
それらがどこか不気味で、不気味というのは理解不能が原因で、だから怖かった。
(『八月』の繰り返し。単調さの恐怖)
でもそれが、繰り返し聴いているうちに、不気味さが心地よさに形を変えた。
『八月』はまるで、ささやかな日常がただ静かに続いていくような、吉兆として聴こえるようになった。
感受性の変化の体験。
そうそうない体験をしたと思っている。
それがだいたい1年前。

『Weather Report』
まず、黒いジャケットに驚いた。
強い黒色の次は、光に目がいった。
閉ざしていた瞼を開け、光を目にしたような、鮮烈な洗礼。
このアルバムの基調色は黒だろうと推測していたが、裏表紙(?)を見て、してやられた感。
歌詞カードを見て、更に、予想を超えられたことに嘆息する。
歌詞カードだけで泣きそうになりながら、アンドレアス・グルスキーの作品を思い出していた。

『Family Record』の真っ白な抽象(ダイゴマンのUst配信でモチーフの正体を聞いた)、
『Ave Materia』の食べ物的な温かいオレンジ(ダイゴマンのスムージーっぽい)ときて、
接写から屋外に移行するジャケット。
激しすぎるコントラスト。

曲。

一曲一曲の解説めいたものはここでは絶対に避けたいけど、
『真夜中』(丁度アルバムの折り返し時間だ)で、責められる「彼女」に対し繰り返される「いいよ」で、
なんというか、みんな救われたような感じがした(救われるという語は宮沢賢治に由来する)

自分は『真夜中』が好き。

『鉱山』で一旦全部終わったかのようであり、
でも『開拓地』で、冒頭の気球がちゃんと着地したようだった。
ちゃんと「食事」にありつけてよかったと思う。

よかったと思う。

『Ave Materia』のもっていた 怖さ が無かったのだ。
どの曲も怖くなかった。

『Family Record』と『Ave Materia』を比べると、
『Family Record』は、声や音は丸く、歌詞が殺気だっていて、
『Ave Materia』は音や声が鋭く、でも歌詞は丸くなっていた。

『Weather Report』は親身になった感じがした。
(『夏至』の一人きりの声。ごまかしのきかない声。)

一方、どうやら大荒れらしい『大陸』の様子。

偶然にもこの日巨大な台風が直撃して、よかったと思う。
よくはない。
備えをして、外に出るのを控えて、おとなしく雨の音を聞いてなければならない。
それでも外に出なければならない人がいるのはおかしいことだと常々思う。

とんでもない荒野ととんでもない大都会に放り出されて旅をしてきた感じがする。
壮大な世界一周の旅だったように思える。
とんでもなく長くて壮大なシナリオの夢を見て目覚めたときに似ている。
でも実は全部が家の中で起きた出来事だったのかも知れないとも思う。


20131009 第17回文学フリマ 頒布物変更


第17回文学フリマ頒布物について、頒布物変更のお知らせです。

当初、個人作品『■■■』の頒布を予定していましたが、
・『She Sells~』の再販
・小説集『スイマー』Vol.2の宣伝/頒布
・web小説「これは物語ではない」の紹介フリーペーパー制作
に集中するため、
また、『■■■』を最善の状態で発表するために、
第17回文学フリマでの『■■■』の頒布を見送りとします。

【要約】新刊落とします

『■■■』の頒布は、最速で2014年2月2日のCOMITIA107を希望しています。
春の文学フリマにも出展する予定ですので、そちらでの頒布も予定しています。

2月のコミティアでは『スイマー』Vol.1に未収録作品を追加した増補版の再販を予定しています。
11/4の来る文学フリマでは前作『スイマー』の頒布はありませんのでご了承ください。


第17回文学フリマでの山川夜高頒布物は以下になります。

・『スイマー』Vol.2 10作収録 500円 '13年11月初版
・『She Sells Sea Shells by the Seashore』100円 '13年5月初版/改訂版11月発行
・フリーペーパー これは物語ではない+近刊紹介


『■■■』を発表できなかったことは本当に残念に思っていますが、
作品には責任を持ち万全の体制で発表したいので、何とぞ宜しくお願いします。


追記にて懺悔。


20131007 タトコン11/タトホン7


夏休みの日記も書ききっていませんが、まずこちらから。
筆無精なもので、前々回、前々前回の文フリや前々回コミティアの日記も書いていません。
余談ですが、日記は毎日書いています。ブログなどで、他人に読まれることを前提とした散文を書いていないという意味です。



本日で最後の回となった、同人誌・ガレージキット等即売会、「つくりたいさんの文化祭」タトコン11/タトホン7にスパイ……お邪魔してきました。
いつか出展したいと思っている間に終了の言葉が発表され、急遽一般参加者として来訪しました。

会場の勝手が分からずうろうろしていた(文字通り、他校の文化祭に一人で来たような)私にも親切にしてくださった皆様、
とりわけ「こちらがスイマーズの山川です」とたくさんの方に紹介してくださった高村暦さんに厚くお礼申し上げます。
肩書きがあるって便利だなあと思いました。ありがとうスイマーズ。

購入物は4点、小説が一冊、書籍が一冊、雑貨・アクセサリーが各一点です。


ちゃっかりとmacbookの上で撮影するドヤリング根性が我ながら気持ち悪い

右:西瓜鯨油社『ORKA』
左:燃えあがる静物『モトシンカカランヌー』

特に『モトシンカカランヌー』に惚れてしまいまして……
“既成の文庫本に画を書き込む直筆本シリーズ”(タトコン/タトホンのカタログから引用)



どうしよう、芸術じゃん!!!!!!!!
と、電流の走る思いで、急いで購入を決意したものです。
こういう作品購入の感情は初めての経験でした。
コレクターってこういう感情なのだろうか……と、いろいろ考えます。

ほか、「西の森荘園」にて、すてきな鳥スタンプを購入し、
「八王子にイヌワシが現れたことがあるそうですよ!!!!」
「本当ですか!!!!!!!!」

と、バードトークに超盛り上がり(ありがとうございました!)、
「ぷいぷい工房」でレジンのアクセサリーを購入しました。

無配では、シアワセモノマニア『幸福遊戯狂』を……ってこれ無配でいいんでしょうか?
普通にオンデマ48ページ帯付きなんですが? 青波さん?

私はと言えば、どさくさに紛れて、高村さんが受け持つ委託本コーナーとコピー紙ラヂヲ(リアルタイムで刷られる参加者の動向)のお手伝いに参加していました。
我ながらどさくさに紛れすぎたと思います。
いや、遊んで帰るには勿体なかったので……
高村さん本当にありがとうございました。



タトコン/タトホンのテーマは「つくりたいさんの文化祭」です。
カタログ15ページをあわせて読むと、やはりまず「作る」ことが目標なのでしょう。
何でも作ってよくて、それを人に見せる場がある。
当たり前のように思っていたそれ自体が(月並みな表現ですが)「貴重」なのだと肝に銘じました。
表現の機会に恵まれない表現者がどれほどいるのか?
美術大学で美術の専門教養を学ぶ者として感じたものは大きかったです。

同人誌即売会をアウトサイダーアートとして捉えることが出来るかも知れない。
最近そういったことをよく考えます。
しかしアウトサイダーアートという語は、芸術の本流(そういうものがあるんです。詳しくは「美術の文脈」でおググり下さい)から外れた作品、
芸術の専門教育を積んでいない作家の作品 という意味なので、
「芸術の中心は芸術教育を積んだ者にある」ことを前提とした全くもって失礼な物言いでもあります。
そもそもプロ・アマの作品の熱意に境界はあるのか?

作品の意図、新しい価値、この作品によって世界がどう変わって見えるのか?
近頃自分はそういうことばかり考えてきました。
ものの見え方を転換することが文学と美術の義務である(=それが、優れた作品である)とずっと考えてきました。
考えは変わりませんし、それが自分の目指す点でもあります。
しかしそのために、小説でも絵画でも立体でも「この作品に意味はあるのだろうか?」と考えると何もかも駄作に思え、
自分の作ったものの価値がいっさい無かったのではないかという疑問を堂々巡りをする羽目になります。

でも、意図や価値以前に、まずは「作りたい」という強い動機が肝心なのではないか?
作品がすばらしいものかどうか・意味があるのか・これによって誰かや何かが激変するのだろうか? と逡巡する以前に、
自分にとってそれが面白いか・それをやりたいのか、自分の創作意欲を優先すべきなのかも知れないと、
タトコン/タトホンの現場を見て深く考えました。

例えば自分が書店で小説を選ぶとき、その作品が文学史上で示した価値や意義を考えて本を選んではいない筈だ。
基本的に、本を選ぶ動機は、面白そうかどうか だけではないか?

もっと自分の創作意欲を信じて、肩の力を抜いていいのではないか。
そういうことを考えさせられた、とても良い「場」でした。
初参加にして最後のタトコン/タトホンでしたが、とても楽しかったです。
ありがとうございました。おつかれさまでした。


さてツイッターで悲鳴を上げている文フリですが、
高村暦さんによる文学フリマ非公式ガイドブック 第2宣言を紹介してこの記事を〆めたいと思います。


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Written by.
Yodaka YAMAKAWA

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