5月5日 COMITIA104が終わった。
その前に11月18日 第15回文学フリマが終わった。
今日まで印刷物として出してきた作品は5つ。
合同誌『スイマー』より、「solarfault」
これは物語ではない『星降る昼』に収録した、「星降る昼」「手紙」
先日の『She Sells Sea Shells by the Seashore』と、
シークレットのおまけとして無料頒布した「審判」という掌編。
つまり、webに公開せず、有料で、限定して頒布された作品が5つ。
「これは物語ではない」はwebで無料公開していた作品である。
背幅1cmくらいの文庫本に匹敵する文量(2012年11月の計算)と、作中人物を描いたイラスト、イラストではないアートワークやら、ツイッターやブログなどによる私の補足を無料で公開し、今も増え続けている。
それだけでなく、他の読者による「ネタ」の提供・共有も大きい。
セレスタのあだ名「セレ子」も、帆来くんのサスペンダーを引っ張るのも、ザムザの伊達眼鏡も、八月一日夏生がなんかいろいろと酷い目に遭うのも、みな他の読者に提供された「ネタ」だった。
「これは物語ではない」は即時性のある作品だと思う。
一方、書籍というものに、即時性はいらない。と思う。
(現代日本の小説は大量生産大量消費だなあ、と、ブックオフの日本小説100円棚を見て思う)
同人誌の即時性についての問題というか。
「新刊」って奴。
即売会毎に新刊を掃けきるのかどうか、zine展の際、タカスギシンタロ氏とお話した。
(お名前を出しても大丈夫な筈。『スイマー』Vol.2の編集についてアドバイスを頂きました。改めてお礼申し上げます)
新刊をその都度完売させるよう、いつも少部数で制作する同人作家もいるが、
多くの人の手にとって貰うにはそれこそ10年スパンでゆっくりと販売していくのでもいいのではないか……
というご意見を頂いた。
確かに、小説や、いろいろな芸術、特に印刷物は、経年変化で作品の中身が衰えたりはしない。
最新作を買って頂けた方が作者としては嬉しいが、読者の中には、10年前の作風が好きという方もいるだろう。
需要も供給も少ない同人誌だからこそ、広く、長く、ゆっくりと、滲み渡らせていく販売方法が適切だし、買い手のためにも売り手のためにもなるのかも知れない。
だから、オンデマンド・オフセットなど、印刷所に委託して製本する場合は、100部は必要だろう。
前回『スイマー』は50部刷った。文学フリマで売れたのが30部。
100部あれば、3~5回以上のイベントに持ち込めただろう。
その場の利潤よりも、多くの人の目に触れることを重視するなら、100部以上は必要だなと思う。
という訳で『スイマー』Vol.2は今のところ200部を予定しています。
さて、コピー本だが。
100部はきつい。特にインクジェットだと。
イベント毎に20~30部増版を重ねていくのが無難かなと思う。
手の内を明かすと、
『星降る昼』は確か初版25部、『She Sells~』は初版26部。
『星降る昼』は文学フリマとその後の通販で合計30部程度売れ、
『She Sells~』は予約合わせて19部が売れた。
「webで長編小説を連載し、イラストも描き、学内の友人からの需要もあり、ツイッターのフォロワーがbot除いたら230人程度」のアマチュア作家がオリジナルの同人誌即売会に出ると、新刊は一度に20部前後売れます。
私の固定ファンは20人、とも言えます。
固定ファンではない偶然の読者に出会うには、継続して既刊の販売をしていかなくては。と。
あまり手の内を明かしている同人作家(しかもオリジナル)がいないので、はじめて本を出そうとした時、参考資料が無く困った覚えがあります。
金勘定が絡むから、明かしたところであまり良い話題でもないのですが。
どこかの誰かのご参考になればと願うばかりです。
話を「これもの」に戻す。あと、語りもね。
即時的な長編小説のスピンオフ短編を、部数と地域を限定して有料で頒布するというのは、
「基本プレイ無料(ただし追加ステージや強力アイテムは課金制)」
とかいうソーシャルゲームと対して変わらんのではないか?
非売品の『沈黙』『シ』も、「これもの」の一環であり、本編では語られていないことが語られている。
しかし非売品であるから限られた人にしか読まれない。
『星降る昼』『She Sells~』も、50部も刷られていない作品で、おまけに各100円。
「アドオン商法」と心のうちで呼んでいる。
これ、いいんかなあ、と。
アドオン商法にならないためには、作品に「物体」としての価値がなければいけない。
だから『星降る昼』には「手紙」をつけなければいけなかったし、
『She Sells~』もあのたたずまいになったのではないかと思う。
それぞれの作品についてのあとがきを、内省と今後の展望のために書こうと思いキーボードを叩いていたのだが、
めちゃくちゃ話が長くなかったため
次回に回します。